トップ / コラム

「研修を受けても現場が変わらない」のはなぜだろう。福祉の管理者に伝えたい、体験型ワークショップという選択

2026年10月6日

文:Mats|NEXT WELTECH 公認心理師・社会福祉士・精神保健福祉士・特別支援学校教諭一種免許

研修のあと、現場は静かに元に戻っていく

研修の資料が本棚にしまわれ、現場がいつもの様子に戻っていくイメージ

研修の翌週のことを、思い浮かべてみてください。

職員さんは「いいお話でした」と言って、配られた資料をファイルにしまう。管理者のあなたも、手応えを感じている。ところが二週間もすると、現場はいつもの顔に戻っています。

誰が悪いわけでもないんです。みんな真面目で、忙しくて、目の前の利用者さんのことでいっぱいなんですから。

私は福祉の現場に、二十年ほどいます。放課後等デイサービスや、グループホームや、就労の支援。いまは研修をお届けする側にいます。立場が変わっても、この「静かに元に戻る」場面には何度も出会いました。

そのたびに思うのです。研修が悪いのでも、職員さんが悪いのでもなくて、「学び方」と「現場の時間の流れ」が、ちょっとすれ違っているだけなんじゃないか、と。

こんな悩み、ありませんか?

放課後等デイサービスを軸に、いくつかの事業を運営されている管理者・経営者の方から、よく伺うお話があります。

  • 職員の質を、どう底上げしたらいいのか。人によって支援の仕方がバラバラで、新しい職員さんの育て方も見えてこない。
  • 利用者さんへの支援や、ご家族のサポートに、頭を抱えている。「なぜそうするんですか?」と聞かれて、うまく答えられないときがある。
  • チームのマネジメントに悩んでいる。どうしたら、みんなが同じ方向を向いてくれるのだろう。
  • 書類の仕事が多すぎて、肝心の現場に手が回らない。

どれも、まじめに現場と向き合っているからこそ生まれる悩みです。ひとつでも心あたりがあれば、この先を読んでいただく意味があると思います。

研修が「知識」で終わってしまう、三つの理由

ひとつめ。「わかった」と「できる」のあいだには、川が流れている

「わかった」と「できる」のあいだに橋をかけるイメージ

話を聞いて「なるほど」と思うことと、翌日の支援で自然に体が動くことは、別の力です。

泳ぎ方の本を読んで、泳げるようになった人はいません。水に入って、ばしゃばしゃやって、ちょっと溺れかけて、はじめて体が覚えます。

ABA(応用行動分析)の考え方も、TEACCHの構造化も同じです。言葉として知っているだけでは、目の前の利用者さんが机の下にもぐったとき、とっさには出てきません。

ふたつめ。学びが、ひとりの中に閉じてしまう

研修を受けるのは「個人」でも、支援をするのは「チーム」です。

同じ話を聞いても、受け取り方は人の数だけあります。そのズレを話し合う時間がなければ、現場には「少しずつ違う学び」が散らばります。ひとりが「やってみよう」と思っても、隣の人が「うちではそうしないよ」と言えば、そこで止まる。

学びというのは、ひとりの頭の中より、人と人のあいだで育つものなのかもしれません。

みっつめ。研修の話と、現場の「困りごと」の距離

一般的な研修は、どの事業所にも通じるように作られています。それはそれで大切なことです。でも、現場の困りごとは、その事業所だけのもの。

「うちの子の場合は、ちょっと違うんだよなあ」

そう思った瞬間に、聞く耳は半分になります。半分になった耳には、どんなに良い話も、半分しか届きません。

体験型ワークショップで、何が起きるのか

私がワークショップを大切にしているのは、「教える」より「気づく」ほうが、人は深く変わると感じているからです。

答えを渡されると、人は「そうなんですね」と頷いて終わります。けれど、自分で「あっ」と気づいたことは、もう手放せません。

福祉の仕事には、正解がひとつではない場面がたくさんあります。だからこそ、正解を配るよりも、考える場所を用意したい。体験型のワークショップでは、たとえばこんなことが起きます。

体験する、話す、自分たちの現場で考える、という体験型ワークショップの3つの場面
  • やってみる:頭でわかったことを、実際に体を動かして試します。うまくいかないことが、最初の収穫です。
  • 話してみる:借りてきた知識は、人に話してみて、はじめて自分の言葉になります。
  • 自分たちの現場で考える:題材は、教科書の中の誰かではなく、あなたの事業所の、あの場面です。

研修を、スタッフの「拠り所」にする

私がめざしているのは、一日かぎりの「いいお話」ではありません。研修が終わったあとも、職員さんがふと迷ったときに「あそこに戻ればいい」と思える、拠り所のような学びです。

そのために、福祉の支援を、ばらばらの知識ではなく、ひとつながりの地図として学べるようにしています。たとえば、こんな流れです。事業所の状況に合わせて、組み合わせや順番は一緒に決めます。

学びの全体像を一枚の地図にして、いまの位置がわかるイメージ
  1. 障がいの特性を、体験しながら理解する
  2. ABA(応用行動分析)で、行動の「理由」を考える
  3. TEACCHの構造化で、時間・場所・手続きを見える形にする(絵カードなどのコミュニケーション支援もここに入ります)
  4. 保護者・ご家族への伝え方や、連絡帳の書き方を整える
  5. AIの力を借りて、書類の時間を減らす
  6. チームで、めざす方向と言葉をそろえる

迷ったときに「いま、自分は地図のどのあたりにいるのか」がわかる。それだけで、人は落ち着いて動けます。

知識も、技術も、ちょっとしたコツも、できれば楽しみながら身につけてほしい。楽しいと、人は覚えるし、また使いたくなるからです。

そして、学んだことが目の前の利用者さんの力になり、チーム全体の力にもなっていく。そのどちらも欠かさずにいたいと思っています。

「話すこと」を、実習のまんなかに置く

私のワークショップでは、参加者のみなさんが話す時間を、とても多くとっています。そして、その時間にはもうひとつ、大事にしているものがあります。

FIKA(フィーカ)です。

FIKAは、スウェーデンの習慣として知られています。仕事の手を止めて、コーヒーや紅茶を片手に、お菓子をつまみながら、ゆっくり語り合う時間のこと。職場でも大切にされているそうです。

湯気の立つカップを持つと、不思議と肩の力が抜けます。「正しいことを言わなきゃ」という構えがほどけて、ふっと本音がこぼれる。

その本音のなかに、現場を変えるヒントが、たいてい隠れています。「実は、あの対応にずっと迷っていて」というひとことが、どんな資料よりも、事業所の次の一歩を教えてくれることがあるんです。

だから私は、研修の前にも、まず対話をします。無料の「対話FIKA」で、現場のいまを聞かせていただき、そこから事業所だけのワークショップを一緒に作っていきます。

事業が違っても、根っこはつながっている

放課後等デイサービスを軸に、就労継続支援B型、就労移行支援、生活介護などを運営されている事業所は、少なくありません。

利用者さんの年齢も、めざす暮らしも、事業ごとにちがいます。それでも、根っこでは同じことをしています。

  • 相手の行動の「理由」を、考えること
  • 伝わる形に、整えること(見える化、構造化)
  • チームで、同じ方向を向くこと

多機能型だからこそ、事業をまたいで職員さんが「同じ言葉」で話せるようになると、現場はぐっと強くなります。そのための共通言語づくりにも、対話の時間は役に立ちます。

体験した人の声

研修のあとにいただいた感想のうち、ご本人の同意をいただいたものを、職種と経験年数だけでご紹介します。

こどもの問題行動をやめさせようとしていた→環境を整えることで改善できると知った

(保育士・経験5〜10年)

こどもたちが落ち着かない原因はこどもたちの中にあると思い込んでいたのが、構造化を学んだことでひっくり返されました。

(経営者・経験1〜3年)

視覚的なツールをどう使えばいいか曖昧だった→研修でロープレを行うことで多角的な視点で理解に繋がり実践のイメージがわいた

(管理者・児童発達支援管理責任者・経験10年以上)

不適応行動が起きた時の、連絡帳の書き方伝え方に悩んでいたが、自分の中で落とし所が見つかり、スムーズになった。

(管理者・児童発達支援管理責任者・経験5〜10年)

必要性の高い視覚支援ツールの作成とAIの活用方法がわからなかった→具体的な表記の仕方や活用方法を学び実践に活かす事ができた。

(指導員・支援員・経験5〜10年)

「利用者さんのせい」から「環境と関わり方を変えてみよう」へ。視点がひっくり返ると、現場は動きはじめます。そして、連絡帳や書類のような、地味だけれど大事な仕事にも、落とし所が見つかっていく。そんな変化に立ち会えることが、この仕事のいちばんのよろこびです。

管理者・経営者が、明日からできる小さな一歩

大がかりなことは、いりません。まずは、次の三つを、静かに自分に聞いてみてください。

  1. 最後に受けた研修の内容で、いま現場で使われているものを、ひとつ言えますか?
  2. 職員さんが、支援の迷いを話せる時間は、一週間のうちにありますか?
  3. その研修は、あなたの事業所の「いちばんの困りごと」と、つながっていましたか?

ひとつでも「うーん」と思ったなら、それは悪いことではありません。変わるための入口が、そこにあるということです。

よくある質問

どんな内容を学べますか?

障がい特性の理解、ABA、TEACCHの構造化、保護者支援や連絡帳、AIを使った書類作成、チームづくりまで、ひとつながりで学べます。事業所の困りごとに合わせて、組み合わせを一緒に決めます。

体験型にすると、時間がかかりませんか?

座って聞く時間より、動いて話す時間が長くなります。そのぶん、研修のあとに残るものも大きくなると、私は考えています。回数や進め方は、事業所の状況に合わせて一緒に決めていきます。

職員に、話すのが苦手な人が多いのですが。

話すことを「求める」のではなく、話したくなる場をつくることを大切にしています。飲み物を片手に、評価されない安心できる場をととのえるのも、そのためです。

研修のあとのサポートはありますか?

研修で終わりにせず、そのあとも定期的に対話を重ねて、現場で出てきた新しい課題に一緒に向き合うことを大切にしています。

まず、何から相談すればいいでしょうか?

次のふたつから、気軽にどうぞ。どちらも無料です。

  • 現場診断アンケート(約10分):「いま、何に困っていますか?」という簡単な質問に答えるだけです。
  • 対話FIKA(60分):コーヒーを片手に、現場のことをゆっくり聞かせてください。

むすび:研修は、ゴールではなくて、きっかけ

研修は、ゴールではなく、現場が「自分たちで考えはじめる」ためのきっかけなんだと思います。

ちゃんと学ぶことと、ふっと力を抜いて話すこと。このふたつは、じつは同じ場所で育ちます。

もし、あなたの事業所で「研修のあと、また元に戻ってしまう」という静かな悩みがあるなら、一度、コーヒーでも飲みながらお話ししませんか。

空いた席にコーヒーを用意して、対話FIKAに招くイメージ

あわせて読みたい

→ 「聞いて終わり」の研修から、「手が動く」研修へ(できるようになるとは)

→ 書類に追われて、利用者さんの顔を見る時間がない(AIを「下書き係」にする)

うちの現場を、診断してもらう(約10分・無料)

→ 現場診断アンケート(約10分・無料)はこちら

わくわくする対話FIKAを体験する(60分・無料)

→ 対話FIKAのお申し込み(60分・無料)はこちら

NEXT WELTECH / 運営:METARBUCKS楽市

ほかのコラム